「亜季……」 優しい声が聞こえる。 その声の主を見て、あたしは驚愕した。 なぜ、ここにいるの……? 「お兄ちゃん……」 お兄ちゃん、どうしてここにいるの? 「他の男と付き合ったらダメだって、言ったのに……」 お兄ちゃんが困ったように眉を下げた。 「……!!!!」 お兄ちゃんの足元には何かが、転がっている。 大きな赤く、黒いもの。