「どうかしたのですか?」



「ごめんなさい……記憶がないんです」



ティナの後ろにいたアメリアは思わず吹き出しそうになった。



ティナがレオンに拾われた時を思い出したアメリアだった。



「記憶がない……」



ティナは自分を見ているようで同情の視線を向けた。



「着ていたドレスと、ケープは高価なものだったの きっとどこかの貴族のお嬢様かなと思ったのだけど?」



「そうですか?」



詮索したティナの言葉に娘は冷たい声になった。



アメリアはその様子を見逃さない。



「この方はここの主の奥方様です 失礼のないように」



アメリアはティナの横に立つと、娘をたしなめた。