「先輩、ありがと。また、頼んますよ」 と、胸ぐらを掴んでいた手を離し、トイレの個室を出ていく後輩―― 1年の南条力雄(ナンジョウ リキオ)の後ろ姿を恨めしげに眺めながら、久郎は思い付く限りの悪態を心の中で吐いた。 この、デブ! とか、 ハゲ! とか、 脳筋ゴリラ! 等々。 1年の力雄は、スキンヘッドがトレードマークで身長、180はあるであろう巨漢のコワモテ男子生徒。 対して2年の久朗は、そのヒョロリとした体格と、気の弱さ故に、ガラの悪い生徒達から恰好のターゲットになっていた。