ルシア姫はしばらく侍女を見つめたまま動きませんでした。

しかし表情は先ほどよりも幾分柔らかくなりました。

「……解ったわ」

そういうと静かにベッドから下りました。

「ありがとうございます、姫様」



この日はとてもポカポカ陽気で気持ちの良い朝でした。

姫様は様々な花が刺繍された白いドレスを選びました。

それは姫様の輝くような金色の髪によく合い、まるで花の妖精が舞い降りたようでした。

「姫様、とってもお似合いですわ!」

侍女が感動しながら言いました。

鏡を見た姫様もまんざらではなさそうな様子でした。

「良いこと思い付いたわ」

姫様の顔がパッと明るくなりました。

反対に侍女の顔はみるみる青くなります。

姫様にとって良いこととは、決まって他の人にとっては悪いことだったからです。