人が弱ってる姿見て、かよ……

「精神的なものと一年間の疲労の蓄積が一気に出たんだろうって医者は言ってた。家に帰ってもいいって監督は言ってたけど、どうすんだ?」


家に帰るか…。

まあこれ以上、ここで姫川に面倒見てもらうわけにもいかねーしな…。


「じゃあ…帰るわ……。姫川、さんきゅーな…」

まだフラつく足を動かして、軽く荷造りをし外に出た。


「なんか心配だから俺も着いて行くわ。んで家に泊めて~」


「あ…?練習は…?」

「明日はちょうどオフ日なの。お前がどんな家で生まれたのか気になるし、いいだろ?」


「…勝手にしろ」



とりあえず荷物を持ってもらい、壁を支えに玄関まで向かった。



タクシーに乗り込み、「嶺北までお願いします」と運転手に伝えた。


家に着くまでの間、俺の横で姫川はただひたすら喋り続けていた。


「お前んちの家はどんなんだ」とか。


「俺ん家はどうだ」とか。



その質問に答えるのがめんどくさくて、ずっと目を瞑っていた俺。