「おぉい江川!またはしゃいでんのか〜!」

教室に入るといきなり海斗を注意する担任。

だけどみんなそんなの今は上の空だ。


先生の後ろに、少し不安そうに、だけど無表情で突っ立っている

少し不思議な雰囲気の転校生君に釘付けだった。



「あ〜今日は江川のことからかってる余裕ねぇな!よし、みんな、聞いてくれ!もう噂では聞いていると思うが、今日はこのクラスに転校生が来てくれた!」

わあぁぁぁぁぁ・・・

という歓声に教室が包まれる。

「ほら、土屋、自己紹介、しなさい」

先生は、転校生君に優しくそう言って、彼の肩を優しく叩いてあげていた。

うむむ・・・なかなかいい先生じゃないか・・・。



「今日からお世話になります、土屋遊歩です。よろしくお願いします」

転校生の、土屋くんは、無表情のままそうあいさつして、さっさと指定された自分の席についてしまった。



・・・・・・土屋くんの、第一印象は、「暗い」。

軽いマッシュルームヘアーで、顔はまぁまぁのイケメン君だった。でも、髪型のおかげてかっこいいよりは、かわいい・・・という印象。

見た目は結構好みだし、いい感じなんだけど・・・


転校初日からあんなに緊張感無く挨拶するなんて・・・。





正直、仲良くなりたいとは思わなかった。

そして当然、好きになるなんて感情、全く生まれてくることはなかった。





「土屋君か・・・見た目はバッチリだね!」

私の後ろの席の椿が、小声で私にそう言ってくる。

「見た目は・・・ね・・・」

と、私。



ほんと・・・

見た目はいいのにな〜・・・