下校時。

さっきから雨は全くやんでいない。


「うっわぁぁ!大雨じゃん…傘持ってないー!」

椿が私の横でそう嘆いてる。

ごめんよ椿…私にはどうしてあげることもできない!

「由美香、一緒に帰ろ!」

「うん。でも傘には入れてあげないよ!?」

「えっ、なんでよぉ!じゃあ一緒に帰んなーい」

「ウソウソ!いれてあげるから~!」

「じゃ、一緒に帰る!」

「何それ~!あはははは!」

「ははははっ!」


雨のなかでも、私達の笑い声は響く。

雨なんて気にならないくらいに楽しかった。



「そういえば!明日、転校生来るらしいよ!」

雨の中の帰り道。

椿がそんな話をしだした。

「転校生?!うちらのクラス?」

「うん。男子らしい。」

「へぇ~。なんか気になるなぁ」

「明日楽しみだね!」

「だねー!」

と、言いながら。

実はあんまり期待してない私。

転校生の男子。

これは完璧なモテワードだろう。

だけど!

そんな上手いことイケメン君が来るとは思わない。

だから今のうちからハードルを下げておく。

まず、私は今日この瞬間まで好きな人が出来たことがない。

いつも大事にするのは椿。友情の方だから。