6月。
5時間目を終えた教室の窓の外は、いつものように大雨だった。
「由美香!ノート取りなよー!またノート真っ白で一日終わったじゃん」
「ん?なんだ椿?いや!ノートとるのはマジ拒否!めんどい!」
「ほんと…変わんないねぇ由美香は…」
私の親友の浅井椿。
おかっぱで色白の美人なコ。
癖毛でショートでメガネの私なんかとは正反対。
そんな彼女とは幼稚園の頃からの幼なじみで、ずっと仲良し。
中2になった今でもすごく仲がいい。
お互いなにに惹かれてこんなに一緒にいるのか、私も椿も周りの友達も疑問に思ってるくらいだ。
「おい!帰りの会始めるぞ!浅井、池田!静かにしろー」
「「すいませーん」」
毎日お決まりのように、私達を注意してから帰りの会を始める担任。
なんていうか…
幸せな光景だなって思った。
幸せで、
少し、悲しかった。
私の抱えている、哀しい事実。
それを知っているのは、親と担任と私。
一生、他の人に言うつもりはない事実。
今の私には、それを忘れて生活することが精一杯。