重力地獄の決闘

 シートを起こし、車長席のコンソールを起動させた。

 コクピット正面の大半を占めている凹面スクリーンが偏向率を変え、車長席にも映像を送った。

 これで下段の操縦席と同じ画像が車長席でも見れることになる。

 同時にシートのホロプロジェクターが補助映像をマックの視界に浮かべる。

 これによって必要な計器類やサブスクリーンがコクピットから排除されているので、思ったほど車内を狭く感じない。

「いてっ」

 立ち上がって背伸びをしようとして、マックは天井に頭をぶつけた。車内が狭く感じないからと言って、本当に広くなっているわけではない。

「またやってる。いい加減慣れたら?」

「うっさいなぁ。改装してまだ1ヶ月だぜ。まだ慣らしも終わってない」

「まあ、その点、あの墜落でダメージがなかったのは良かったですね」

「ったりまえだ。あのぐらいで壊れたら、工房の親爺に料金返して貰うとこだぜ。だいたい、あれは墜落じゃねぇ、強行着陸だ」

「はいはい。おっと、着いたようです。コントロールを自動から手動へ」

 凹面スクリーンに黒く爛れた深さ数メートルのクレーターが映り、イーガーはその手前で減速し、停止した。