重力地獄の決闘

「指名で急ぎの仕事が入った。しかも、引き受ければ労働局が無条件でその請求書の金額を全部負担してくれるってさ」

「うまいこと考えたな。よほどその仕事が急ぎと見える。仕事の内容は?」

「ファーサイド重工からで、エネルギーパイプライン中継器の修復なんだ」

「FSIからの仕事?キャンセルされたんじゃないのか?」

 マックは、長期休暇後に入っていた仕事を思い出して言った。

「あれは、パイプライン中継器のメンテナンス。どうやらその前にどっか壊れたみたい」

「ふうん、そうか、FSIの仕事か、労働局が張り切るわけだ」

 FSIは労働局に多額の寄付をしている重工業を中心とした企業グループである。

 FSIは寄付のおかげで、優秀な何でも屋を低料金で雇うことができた。

 そのせいで、何でも屋に来る企業絡みの依頼で最も多いのが、FSIからの依頼だった。

 言わば、お得意様である。