弾かれたようにジャッカルの船体がトロンⅡBの大気を切り裂いて飛び出した。

 銀色のGエリアがみるみる後方へ流れ去り、僅か数秒で黒いトロンⅡB本来の大地がジャッカルの眼下に広がった。

 途端に急激な重力がジャッカルを引き摺り落とそうと襲ってきた。

「マック、右舷動力ジェネレーター出力急速低下、このままでは出力不足でエンジンと慣性制御系が停止します」

 キムが言ってるそばから出力不足でまずエンジンが停止、続いて予備慣性制御系も停止した。

 それまでに宇宙港までの距離は1キロメートルを切っていた。

 船内に働いている重力制御システムがフル稼働する。

 それでも押さえ切れないGがマックとキムを襲う。

 推進力と揚力を失ってジャッカルは急激にその降下角度を大きくし、ほとんど落ちるように黒い大地に向かっていた。