重力地獄の決闘

 問題はその緩衝地帯だった。

 緩衝地帯には重力制御場発生装置は埋め込まれておらず、トロンⅡBの本来の地表が黒々とむき出しになっており、当然のごとく25Gの重力が掛かっている。

 コースはその緩衝地帯を必ず横切らねばならない。

 普段のジャッカルならいざ知らず、今は右エンジンと予備慣性制御系を補助動力ジェネレーターで賄っているのである。

 しかも、強力な航宙用エンジンを惑星上で使用するのはあまりにも危険だし、第一ただでさえ目一杯使っている補助動力ジェネレーターでは動力供給が追い付かない。

 後使用できるのは姿勢制御バーニア群と緊急上昇用高出力バーニアだけである。

 油断は出来ない。