「ふーん・・・」

守は気のない返事しかできなかった。でも雪子はそんな事は関係なく、ただひたすらに話していた。それは、まるで転ばない様に必死にペダルを踏み続けている子供の様でもあった。

もう、二人は、大丈夫なのに・・・。守は雪子の必死さ?が分からなかった。多分、雪子自身も分からないのだろう。

「ねえ、この本、読んでみない?」

雪子はバッグから一冊の本を取り上げた。