冬のための夢

守は忠士を、非常階段に連れだした。

そこからは、高層ビルが左右に見えた。予備校は二つのメインターミナルの間にあった。

守はここから見える風景が好きだったが、忠士は大嫌いだった。何故なら、忠士の団地よりも明らかに立派だからだった。だから、ここに連れてこられた事も余計に腹がたった。                   忠士が問いかける前に守の方から勝手に喋り始めた。

「へへ、俺今ものすごくやる気が出てるんだ!」

「どうせ、また飽きるんだろ。だったら自習室で勉強するな。迷惑だからな」

しかし、今日の守は違っていた。