母子家庭であるのに関わらず、守のために精一杯の
協力(お金)をしてくれる母。

自分の環境でこんな受験浪人など本当はできる訳が
ないのに・・・。

父は守が13歳の時、突然家から出ていった。もちろん帰ってこない。風の噂だと沖縄へ行ってペンションのオーナーになったらしい。しかし、金など送ってはこなかった。

その日から母は、一人でパン屋の工場へ出向き働き始めた。自分は今だにバイトすらやった事がないのに・・・。

田舎で稼げる金位は自分でも分かる。

母は自分の老後など本気で考えてないのだろう。

『畜生!!』

再び、いらだつ。自分に。

机から立ち上がり、脱ぎ散らかした服やカップ麺の殻をけとばしながら、冷蔵庫にたどり着く。

牛乳パックを握りしめ、パイプベットに座り込む。

テレビをつける。去年やっていたドラマがやっていた。