「俺、これからちゃんと勉強して、大学入るよ。君は、万引きなんかもうするな」

「・・・、うん、わかった」

「あと二つ質問していい?」

「うん」

「君の名前は?」

「雪子、冬樹雪子」

「寒そうな名前だね」

守は彼女の名前から、雪山の氷づいた林を想像した。彼の世界の中に“ふゆきゆきこ”が登場した瞬間だった。