冬のための夢

動物園の動物は、なんて無愛想なんだ。     
パンダは姿を見せないし、ライオンは寝てばかりいる。
色の派手な鳥たちもほとんど鳴かず、かえってフェンス越しにいるカラスの鳴き声の方が耳にさわった。
           
守は、子供の頃に行った唯一の親子旅行の事を思い出そうとした。しかし、やはり何も思い出せなかった。

守は、ふっと女の子を見た。

彼女は守から5メール程離れてついて来ている。

守と同様にたいした事をしてくれない動物たちを見ていた。