男は明らかに若く学生なのだが、何故か紺のスーツを着ていた。しかし、カバンは持っていなかった。

就活の最中?なのだろうか。

「そうですか・・・」
もちろん雪子は知っていた。                    
雪子はただ単に行き場所がなかっただけなのだ。

しかし、男は立ち止まったままだった。

雪子にはその男は何故か人間には見えなかった。

それはどこからか電波で動かされている出来の悪いロボットを連想させた。きっと今電波が止まっているのだろう。
               
しかし、男は電波を受信したのか、不意をつき話し出した。
                   
「あのう、あなた今幸せですか?」