天国島


頬を染めて、背中の羽を、大きく広げて

林の大木の陰に隠れて、地面から足を離した

その、宙に舞う天使の姿を、木々を抜けた陽光が後光のように包んでいるんだ

ほんの二~三秒の出来事だった・・・けどよ・・

オバサンの目から、雫が垂れた

オバサンが教会の絵の中でしか見たことのない

神々しい光景が、現実に目の前で起こっている

オバサンは感激の余り、跪いて、胸の前で両手を組んで頭を垂れた

地に足を戻した天使は、震えた

オバサンの涙の訳が分からなかった・・当然だあなぁ

みんなが、やらねぇイケない事をやらされて

やらした本人が身震いして涙流してんだ・・・

そこまで罪深い事を自分はしてたんだ、天使はそう思い震えるオバサンを見て

顔を曇らせた・・・

同時に、なんでオバサンは、そんな罪深い行為を自分にさせたのかって考えた

でも「善良」に育てられた天使は、基本的に自分を戒めるんだよ

これも、オバサンの「イケナイことはもう止めなさい・悔い改めなさい」っていう、遠回しなメッセージだと天使は思った

そう考えるように育てられたんだから・・仕方ねぇよな・・

自分の育成の目的は、世界の偉いさんの不純な欲望を叶える為なんて

これっぽっちも知らねぇんだ

天使は・・自分が本来、どういう存在かさえ知らねぇ・・

宙を舞い・空翔る・それが、まっとうな「天使」の有り様だなんて知りゃしねぇ・・