小悪魔な君に天使のキスを


「沙夜、ちょっといい?」

次の日、学校で、、、

いつも強気な妃奈が、小さな声で私を呼んだ。

私の胸には、ペンダントが着いている。


妃奈は、お金持ちのくせに勉強が苦手で、、

成績がそれなりにいい私とは仲はよかったけど、私は妃奈が好きじゃないし、きっと、妃奈も私の成績以外は好きじゃないと思う。

「何?」


「昨日、柊樹くんと一緒に歩いてたでしょ!?あたし、見たんだから!見たの!…酷いよ、沙夜。人の彼氏、奪わないでよね!」

妃奈の大きな目から涙が、ぽつんぽつん、と落ちた。

…その瞬間、全てを悟った。

私は、妃奈の彼氏に想いを寄せていたのだ。

でも、、、柊樹の気持ちは?

分からない。

勉強みたいに答えが出たらいいのに、、。

そしたら、満点の答えを書けるのに、、。

こんなこと、辞書で調べれば載ってるの?

なんて調べればいいの?

どんな参考書を見れば答えがあるの?


ねぇ、柊樹の気持ちが知りたいよ…


私は、泣いている妃奈にハンカチを渡して、教室に戻った。

「ねぇ沙夜、妃奈を泣かしたんでしょ?」

そう聞いてきたのは、友達の蘭。

蘭は、Disneyの件の電話でも分かるように、妃奈に怯えている。

「…うん」

「すごーい、沙夜!」

そんなことを言われて、ちょっと妃奈の反応が気になったけど、妃奈はまだ涙を拭いていた。

♪~♪~♪

私の携帯が鳴った。

知らない電話番号からの電話だった。

「もしもし?」

『もしもし、沙夜、、。』

電話は…柊樹、からだった。

「柊樹!?どこにいるの?メールの返信してよ!電話も…!すごく心配したんだから…っ」

『ごめんな、沙夜。今日は1人で帰るなよ』

なぜかそんなことを言われて、私が返事をする前に、電話は切れた。

わけわかんないよ、、。


「蘭、今日ってもう帰るの?」

「うん、帰るよ☆沙夜も?一緒に帰ろーよ♪」

「…うん☆」