「成瀬くん、帰ろ」 「だから遅ぇって」 教室で携帯をいじっていた成瀬くんは軽く私を睨んだ。 「だって掃除当番だったんだもん」 ぶつぶつ文句を言う私に鞄を渡し、成瀬くんは松葉杖をつきながら教室を出た。 「松葉杖って大変?」 ふと疑問に思い隣を歩く成瀬くんに話しかける。 「…そりゃあな。誰かさんのおかげで苦労してるよ」 ふっと鼻で呆れたように笑った。 聞くんじゃなかった…。 「あ、お前って運動音痴だよな」 何を思い出したのか、クスクスと笑い出した。