嘘から始まる恋




相手も私を見て、一瞬動きが止まった。


成瀬くんだ…。


会いたくなかった。


まだ泣いてるのかって思われちゃう。


気まずそうに何か口を開こうとしている成瀬くんから、思わず目を逸らした。



「どうしたの?」


「ううん…、早く行こう」


純ちゃんの手を引っ張って小走りで保健室へと向かった。



「…王子と何かあったの?」


「純ちゃん、ちょっと寝るね」


力無く笑う私に純ちゃんは質問を止めて、教室へと戻って行った。


ごめんね、今は何も言いたくない。