「成瀬くん…」


「あ、鞄ありがとう」


「いや、うん…」


そうじゃなくて。


めっちゃ笑顔なんですけど。



「誰〜?このコ?」


「成瀬くん、誰?」


甘ったるい声で成瀬くんに話し掛ける女子達。


「うん、ちょっとね。気にしなくていいよ」


ははっと爽やかな笑顔を振り撒く。



私は黙ってその場から逃げた。



成瀬くんって、あんな笑顔する人だったの?


私は睨まれてばっかなのに…。