―掲示板に着いたあたしたち。
さっきまで黙ってた奈穂が、飛び回ってる。

「奈穂、何そのテンション。
もしかして壊れた!?」
「あたしは元からだもん!
紗和はテンション上がんないの?」

ホントは、奈穂みたいに飛んだり跳ねたりしてみたい...。
でも、プライドが許さない...。

「あっつ!紗和2組だっ!」
あたしの回想を割って、奈穂があたしのいつもの楽しみをバラす。
「もうっ!人のせっかくの楽しみをっっ!!
...で、奈穂何組?」

恐る恐る聞いてみると、
「...あたしも2組。6年連続クラスメイト、宜しくね。」
「...なんだ。また一緒か。
...なんか腐れ縁だね。」
「...うん。」
何故か分からないけど、奈穂は悲しくつぶやいた。

「ほらっ、早く寮何処だか確認しちゃいなよ!
じゃなきゃあたし、遊びにいけないしっ!!」
奈穂に催促されたので、確認することにした。

「えーっと、田部紗和、田部...」
「紗和」

知らない女の子が、あたしの名前を口にした。
凄い可愛い子。ふわふわしてて、お菓子みたい。
―えっ、今あたしに話しかけたの?

「紗和でしょ。田部紗和。」
「はい、そうですけど...何か?」
「私。覚えてないの?私の名前は...

    
  ...黒川瀬南。」

可愛らしい女の子は、あたしにそう告げた。