*−10分前−*

「紗和っ、はよっ★」
元気な奈穂の声。
奈穂とは小学校からの親友。
「おはよっ★今日は寮の発表だね!」
「あ、そーだね。紗和は寮に入るの?マジ!?いーなぁ!!」

南雹高校には、寮があって、でも空きが無いと入れないっていう、まさに「運」で入れる寮なのです。

「おとーさんが探してくれたの?」
「うん。」

あたしとお父さんはお母さんが5歳の時に亡くなって以来、親友みたいな仲。

「紗和はいいよねー。おとーさんと「おしどり親子」なんてあだ名も付けられて仲いいもん。あたしなんて、親と喧嘩してばっかだし。紗和のおとーさん欲っしー!!」

思わず吹き出しそうになったのをこらえて、
「確かに、優しいけど、お父さんあげないから。」

あまりにも冷たく言ってしまったので、奈穂が黙った。
「…言い過ぎた。ごめん。」
「…。」

ダメだ…
完全にぶすくれている。
「時間もないし、掲示板見に行こっか。」
そういうと、奈穂はしぶしぶついて来た。
そして、あたしたちは掲示板へと向かう。