「じゃ、俺ら帰る!」

「藍、また明日ね」

「うん!ありがと!」


杏は彼氏とちゃんと手を繋いで帰って行った。


「で?今日は何で待ってたの?」

「ぇと…そのね?」


何て言えばいんだろ…。
恋人らしくしたい?
おかしいよね?
一緒に帰ろ?
なんか答えになってないしー…。


「うーん…」

「ばか、帰るぞ」

「え?おわ!」

津に手を引かれ、駅までの道を歩く。

「ごめんな?」

「え?何が?」

「最近、俺…イライラしてんじゃんか?」

「そう言われれば…」

津は大会が近いからなのか、イライラしてる事が多いから話しかけるタイミングが分かんなくて困ってる。


「俺さ、レギュラーとりてーんだ。だから、大会終わるまで遊べねーけど…我慢してくれるか?」


足を止め、あたしの目を見て言う津の言葉をあたしが否定出来るわけないじゃん。
大好きな人に頑張って欲しいって思うのは当たり前だよ?


「うん!その変わり、絶対レギュラー取ってね!」

「あったり前!つーか、お前もレギュラー取れよ」

「えー?無理無理!」

「あ?じゃー、朝早く行って練習すっか?」

「まぢ!?」

それは、津からのお誘い。朝は早くなるけど、津と二人っきりでバスケが出来るってこと。