「な、何よ。そんな事言ったって、怖くないんだからっ。それにあんたウザイのよ。色目使って啓汰君に近づいて―――」

近づいて? 笑わせる。自分は怖くて近づけないくせに、まったくもって、残念な人たちだね。

 そうやって笑っている私に気付いたのか、怯えながらも言う

「何とか言いなさいよ!!」

なんとも、まぁ。ありきたりな台詞ですこと。それしかないのかしらね。

 相当怒っているのか椅子を振り下ろしてきた。

それを片手で受け止めてから言う

「なんか言う?言ってほしいの? 君たちのだーい好きな啓汰くんの前で?」

入り口の方をチラリと見ながらそう言った。相当ニヤニヤしていたらしい。啓汰君は困った顔をしていた。

 焦った女達は、言い訳をしようとした。立花さんはまだ固まっていたけど。

「あのね、飯坂君私たち―――『何してるの?』

頬を染めながら啓汰君を見てそう言うと、肝心のその人に遮られた。
 声はとても冷たくて、普段の明るい様子からは想像できないものだった。

不覚ながら、ちょっとドキッとしてしまった。くそぉ……
 
言葉を切られてムッと来たらしい女が答える

「この子、調子乗ってるから。注意してたの」

お前がな。ってすごく言いたい。まんま返したい。
 そのセリフを聞いた啓汰君は、感情のみえない目のまま、抑揚の無い声で言い返す。

「痣あるけど? それに今椅子を振り下ろしたろ」

冷たい――――――

 相当怒っているらしい。私でも、怖くなってきた。
怖くなってきたので私が、口を挟む

「言えないんだ。意気地なしだね。黙って何もしなかったら調子に乗っていたのは君たちだろ?」

 そう微笑んで言うと、女達は顔を赤くさせた。

「お前―――」

そう女達が言おうとしたとき扉が開いた

ガラッ