オリオンの砂時計

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何分たったかわからない。
歩道橋の手摺は思ってた以上に冷たくて、指の感覚がなくなってる。
目を開ける。
キレイな夜景じゃないし、空気も排気ガスの黒い粒子が混じってて、とてもじゃないけど深呼吸したいとは思えない。
この土地で、私はずっと育ってきたんだなぁ。
墓地と反対側の階段をおりる。
そこには真新しいプラスチック製のベンチが2つ設置されてる。
すぐ横には24時間まで営業してる本屋さん。
明るい街灯もある。
街灯から離れたほうのベンチに腰掛ける。
カメラと本を、持ち歩いてる。
本は、フィーリングで選んだりする。
実用書の棚もよく見る。
本屋にいると、小さい本屋でも半日はいられるかも。
図書館も好き。
本と私の、運命の出会いを、いつも楽しみにしてる。
私が本をよく読むようになったのは、高校で図書委員になったのがきっかけ。
一緒に図書委員やった子はとても本が好きな子で、絵も好きな子だった。すごく気遣いが細やかで優しくて、可愛くて、私は彼女が好きだった。
男だったら口説いてかもね。
それに引き換え私はこれまでほとんど本読んだこともなかったのに、図書委員になどなって、ドウシマショウ??って感じだった。
読書会っていうのがあって、一冊の本をみんなが読んできて、集まって2~3時間、だったかな、それについて話をするの。
あれは楽しかったな。
ほんの短い時間なんだけど、お互いの考え方の違いとか、昔の思い出とか、たわいのないことで結構盛り上がれたりする。
準備するのは結構大変で、そんな時にも彼女がいてくれたから、責任感の欠片もない私が、なんとか読書班の班長やってこれた。
彼女との出会いが、私と本を結びつけてくれた。
そして、本との出会いが、また新しい出会いをくれる。
幸せなことだと、思う。