強欲な女

「メリークリスマス!遅くなってごめん!」



そこには鼻を真っ赤にさせながら謝る剛がいた。



その表情とあがっている息から私のためにこの寒空をバス停から走って来たことが分かった。



「手………冷たい……。」



私は剛の手を握った。



「じゃぁ〜真美が温めて。」


私の唇に剛の冷たい唇が触れた。



「んっ…………。」



背中に入ってきた剛の手が冷たくてビクッとした。



「真美感じてるの?」



「っ……ん……。」



私は最後まで感じているふりをし続けた。



「真美すっげえかわいかった。大好き。」



剛がきつく私を抱きしめた。



「これ、メリークリスマス。こんなのしか買えなくてごめん。」



剛が私の小指に指輪をはめた。



「かわいい……。ありがとう。」



ハートの形をしたガラスのついたシルバーのピンキーリング。



私はそれをとても大切にした。



いつの間にか剛なしでは生きられないと思うほど、剛が大切な存在になっていた。