電話越しの君へ



「いーよ別に。いつも電話で話聞いてくれてる御礼」




少し俯いて彼は答えた。




「……あ、そーいや今日は恋バナしなかったね」




「お前切羽詰まってたしな」




「ねぇ、きっと杉本なら大丈夫だよ」




私の言葉に彼は顔を上げる。




「杉本なら、きっともうその子と両想いだよ。だってただの友達の私にも何だかんだでこんなにイイ奴だもん」




きっと杉本は好きな子にはもっと優しく接するんだろう。




それなら、その子も杉本を好きにならないはずがない。




「……応援、するから」




どうか、今の私の笑顔が泣きそうな顔に見えませんように。




あなたの幸せを願う、ひとりの友達としての笑顔になっていますように。




「ああ……さんきゅ」




そう言って私の頭を軽く撫でた杉本の右手。




その温もりが離れていくとき私は誓った。




この気持ちを、
絶対口にはしない。




ずっと友達のままでいいの。




傍に……いたいの。