電話越しの君へ



「俺が?」




怪訝そうな顔の彼に私は微笑む。




「うん。やっぱ頭いい人が『出る』って言うとこは出そうな気がするし」




そして取りあえず地理と数学、化学と古典の教科書を出した。




「出そうなとこに丸つけて」




「俺のヤマかけ、
マジで当たんないけど」




「大丈夫!
もし出なくても恨まないから」




そう言ってにっこり笑うと彼はしぶしぶ教科書を受け取った。




「……出なくても責任とらねぇからな」




そして杉本はシャーペンで丸をつけていった。




――…




「今日、遅くまで付き合ってくれてありがと」




私の家の前まで送ってくれた彼に私は頭を下げた。