『葉優、無思運必という四字熟語を覚えておきなさい』


『むし…うんひつ?』


『そうよ、いいわね』


私は毎日のように母に言われてきた。


まだ小さかった私は、この四字熟語の意味なんて知りたくもなかっただろう。


両親のいない私は、ただ無思運必と書かれた紙を一人見つめていた。


どうして母はこの紙を残していったのだろう。


そんな疑問がいつも頭から離れなかった。