SIDE.今野珠子 朝、珠子は重い足を引き摺るように家を出た。珠子が家を出た頃、馨はまだ寝ていたようである。 学校に到着してから三限程すると、珠子の携帯電話に馨から「どうして起こさなかったんだ」という催促のメールが届いていた。 授業中珠子は、いつものように右斜め前の席に座る悠平を見つめていた。 何ということはない。だけど珠子の鞄の中には二つの弁当が入っている。 もう弁当は必要ないのかもしれない、珠子はぼんやりと思った。 結局昨日の一度だけだったのだと。