「サワちゃん!第2会議室にお茶用意してもらえる??」


「はい!」


私は神楽サワ。

この会社に入社して3年がたったのに、まだお茶くみ係を任命されている。


多分、これが一番合っている気がするんだけどね。


熱いお茶を入れるだけなんだけど、旨いって言われるときのあの感動ったら…

みんなにはわからないだろうな。


「新社長御披露目?」


私は会議室の座席人数を数える為に見たプリントの会議の項目に目をやった。


「社長ももう歳だから息子にバトンタッチするみたいですね。カッコいいかなぁ??」


一緒にお茶を入れていた後輩がはしゃいで言った。


私は笑って見てたけど、内心うらやましく思った。


私はまだ恋愛をしたことがないから。

臆病者で逃げまくって、隠しまくってきたから。