「おまたせしました」


いかにも走ったかのような口ぶりで笑いかける。見上げたそこには爽やかに笑う永川様の姿。


「全然。ごめんね、時間ずらしてもらって」


私は一生懸命横に首を振る。


「こちらこそ!今から同伴なんてお金かかるだけなのに…」


そう。永川様の仕事が長引いて、時間が遅くなったのだ。


「いいんだよ。雪ちゃんと一緒にいたいだけだから…」


おい、妻子持ちですよね?