あの時の温度を忘れたかった




「大体今日、早出でしたよね?」


「ん?そうだったかね、」


「なんで私が帰る時間にいるんですか?」


「ちょっと話してたし」


「それでたまたまタイムカード押してなかったと?」


「まぁ、そんなもんかな」



片手でハンドルを握る一弥さんは何故か私の手を握っていた。



「あの、手、」


「ん?あー…いやなら放すよ」


「何で繋いでくれたんですか?」


「なんとなく…寂しいかなって」



失恋をしたばっかりの私はその一言で涙がいっぱい流れてしまった。人の優しさに触れたからかも知れない。