まぁそんなに睨んでても、あんまり効果は無いけどな。
俺は優しいから、それは敢えて言わないでおく。
「んで?手、届かないんだろ?」
「…べっ別にそんなことある訳無いじゃないですか。」
「お?素直じゃねぇやつ。んじゃ俺帰るわ。」
片手をヒラヒラと挙げながら、桜澤の横を通りすぎた。
いや、通りすぎようとした。
なんか歩けねぇと思ったら、桜澤が俺のブレザーをちょこんと掴んでいた。
「なんか用ですか?愛梨沙様。」
「どっどこ行くのよ。」
「俺は今から自分の家に帰ろうとしてるだけですが?」
「あれ?手が本棚に届かない感じですか―?」
やばい俺乗ってきた♪

