かえで
「この絵は元々、私達の所有していた絵画だったんです…」


彼女の話を要約すると、こういう事だ…



『仔犬を抱いた少女』……
この絵画の作者は、故『白石白諸雲(しらいしはっくしょん)』画伯…
日本美術会の重鎮だった人で、風景画を中心にその絵画は数千万で取引されている程の偉大な画家であった…


そしてこの白諸雲…実は、かえでのお爺さんなのである。


この絵画のモデルになっている『少女』とは、白諸雲の娘…すなわち、かえでの母親であった。


白諸雲の作品は殆どが風景画でこの人物画は価値が高く、多くの愛好家が買い求めようとした。しかし、白諸雲は断じてこの絵画だけは売る事はなく、ずっと自宅の壁に飾られていたのだ。