四限目が終われば教室の空気は一気に和んで、みんなそれぞれにグループをつくってお弁当を広げる。
「りっちゃんっ!今日、学食?」
片手に財布を持った芽衣子が、ノートに生物の板書を続けていたわたしのところにやって来た。
「あ―…違うけど。何?メイ学食?」
見たらわかるけどさ。
「うん、学食。じゃあ買ってくるね」
「ああ、なら知佳と待っとくわ」
いつもの事ながら、顔はノートに向けたまま、軽く手だけでいってらっしゃいと合図した。
廊下をパタパタと駆けていく足音に、ふと思いたって、廊下側の窓を開けてからメイに向かって叫ぶ。
「メイーっ、いちご牛乳頼んだー!!!」
片手でピースして了解を伝えるメイに、いってらーと呟いて、知佳と机をくっつけた。
「メイ学食?」
「ああうん、買ってくるって」
知佳はふーんとだけ言って自作の単語カードで、暗記を始めた。
わたしもすることがなくなり単語カードを取り出した。
捲っても、捲っても、内容はちっとも頭に入ってこない。
チラリと盗み見た知佳は、よっぽど集中しているらしく、わたしがしばらく見つめていても、まったく気づかなかった。
頑張りすぎじゃん?とも思うし、頑張らないとな、とも思う。
わたしは多分、出遅れてる。
メイが戻ってきて、わたしはお弁当を広げた。
無言で玉子焼きを知佳のお弁当に入れると、かわりにウィンナーがやって来た。


