ゴミ溜めのような机の上の教科書やらノートやらの山をなんとか脇によけて場所をつくった。

進路希望調査

誰も疑わないのだろう、と思う。
初めから、誰も進学することを疑わない、そういう学校なのだから。

夢は、ある。
その夢をかなえるのなら、わたしの希望は大学進学。 
中三の時、親の反対を押し切って今の西高を選んだのは、進学するつもりだったからだ。

両親の希望は商業高校だった。
卒業後は就職にも進学にも進める、というのが売りで、同級生にも結構人気があって偏差値もそこそこだったけど、わたしは十分に合格圏だった。
体験入学にも行った。
いい高校だと思った。
だけど就職も進学もできるなんて絶対に嘘だ。
就職率だって、場所を選ばなければなんて条件付きだし、進学はほとんどが無名の専門学校、じゃなかったら提携校の商学部だ。
何かが違った。
わたしが進みたい方向には進めそうもなくて、進学もできるんだからと言って納得させようとする両親が、本心では就職してほしいと思っているのはありありと伝わってきた。

西高は一目惚れだった。
西高の体験入学に行ったわたしに両親はいい顔しなかったけど、かまわなかった。
ウソ、ほんとは悲しかったけど。
西高はこの辺では有名の進学校の一つで、わたしの偏差値で言えば、ギリギリ、頑張れば、奇跡が起きればいけるかも、ってくらい、憧れだったのだ、本当に。