あれから一体どれくらいの時が経ったのだろう。



小高い丘に生えていた楡の木の周りには

いつの間にか小さな森ができた。



ああ
これではあの人が私に会い来れないのではないか



と男は思った。



そして同時に



いや
きっともうあの人が私に会いに来ることなどないのだ



とも思った。



けれど、もう、いい

もう、痛みも、苦しみも、悲しみも、怒りも感じない。



きっとそこでなら私はあの人に会いにゆける。



そう息をついて

男は静かに目を閉じた。