ある所に、男がいた。



年老いた、犬のような顔をした男。



小さな森の、
小さな家に、一人で住んでいた。



男が自分でこの場所に建てた家だ。



男はこの森で人を待っていた。



ずっと、ずっと待っていた。



約束の日など決めていなかったから

いつ訪れるとも知れぬ待ち人を

来る日も、来る日も待ち続けた。