15年前
「ねぇママ、パパはどうして
遊んでくれないの?」
今年4才になる幼い少女。
人形を抱え母を見上げていた。
少女の名前は浅田 凜、
セミロングの髪を二つに縛っている。
凜の母、浅田 真央子は
困った顔をしていた。
凜はまだ幼い、
父親が自分と遊んでくれないのが
悲しかったのだろう。
毎日毎日
同じことを真央子に聞くのだ。
その度に
「もう少しだけ待っててね。」
と優しく頭を撫でる。
だがそれは凜にとって
憂鬱なことだった。
幼いながら
母が自分に嘘をついている
ことには感づいていた。
物心ついた時から
家には母と自分しか居なかった。
父の顔は余りよく覚えていない。
リビングにある
写真でしか見たことがないのだ。
