一生懸命頑張ったって駄目なことの方が多いのかもしれない。
それに気がついたのは、小学1年生の時。
体育の授業の時だった。

僕は、体育が大好きで、将来はスポーツ選手になりたいと望んでいた。
この夢を諦めるのにはあまり時間はかからなかった。

「位置について~」
グッと拳に力をいれる。
「よ~い」
みんなの体が強張ったのが分かった。
スタートの合図を僕が、いや僕が1バンに聞いて走り抜けてやろうではないか!
みんな一瞬にしてそう思ったんだろう。


バンッ
青く奇麗な空の下、スタートの合図はそこに消えていった。


一斉に動き出す足。
その時、僕はみんなの背中を見ていた。

もっと早く足よ、動いてくれ。
強く強く食いしばる歯。


あ~これは、駄目だ。
もう追いつかない。


僕は、4位だった。
6人中4位だった。

「公君、よく頑張ったね、10秒だよ。前よりタイムが上がってるよ!」
先生、僕は何もうれしくありません。
抜かれた奴がクラスの人気者であろうが、抜かれた奴がスポーツクラブに入ってようが、抜かれた奴がサッカーが上手であろうが、僕は一番じゃない。


僕は、何も嬉しくない。
スポーツ選手にはなりたくない。

これが、僕の一番の諦め。
覚えてる中ではね。


なんだかんだで「挑戦するよ」と「辞めたよ」の繰り返しで生きてきて16年。
もうすぐ自分で生きていかなければならない年齢に近づいてきた。


そこで出会ったのが、里美美里先輩だったのだ。


彼女は17歳でした。