それを持ったまま、小走りでエルのもとへ駆け寄る。
エルはあたしから袋を受け取って中身を確かめると、乱暴に山賊に差し出した。
「ホラ、さっさと消えろ」
「ひでぇ嫌われようだな。言われなくてもさっさと消えるさ」
そう言って、山賊は袋の中身を見ると、瞳を鋭く細めた。
その冷たい瞳で、エルを睨む。
「…おい、これじゃ足りないぜ」
「あん?」
エルは眉をひそめ、山賊を睨み返した。
「バカ言ってんじゃねぇよ。奪ったまんま、手ぇつけてねぇし」
―――もしかして。
二人の会話を聞きながら、あたしの心臓がドクンと脈打った。
もしかして…山賊が取り返したいのは、髪飾り?
「嘘つくんじゃねぇ!髪飾りがあったはずだ!」
声を荒げた山賊の言葉に、エルの眉がピクリと動く。
きっと、髪飾りの存在を思い出したんだ。


