「くっ…、お前ら、かかれ!」


その合図と共に、周りを取り囲んでいた山賊たちが、一斉にエルとアスティに飛びかかる。


「………ッ!」


思わず息を呑むと同時に、山賊たちが突然吹き飛んだ。


その光景に、あたしは目を丸くする。


「多勢に無勢って、卑怯だなおい」


「でも、この強さじゃ一人分にも満たないよ」


エルとアスティは、何ともなかったような涼しい顔で、さらりとそう言った。


背後では、悔しそうに唸る声が聞こえる。


「くそっ…!おいてめぇら、これを見ろ!」


首筋に、ヒヤリとした何かが当たる。


視線をずらすと、鋭く光った短剣が、あたしの喉元に突きつけられていた。


もちろんあたしはか弱い乙女だし、悲鳴を上げるほどの出来事だけど。


でも…三回目となれば、ねぇ?


「おいアホ、少しは怖がってやれよ」


「アホって言わないでよ!」


あたしとエルが言い合いを始めると、流石に男は切れたみたいで。