どういたしまして、とは言えず、あたしは静かに首を横に振る。
「あたしは…何もできなかったよ。この世界を誰よりも想ってたのは、国王だから」
「んなこと、ねぇんじゃねぇの」
不意に掛けられたエルの言葉に、思わず「え?」と訊き返した。
「お前だって、生まれでもねぇこの世界のこと、ちゃんと考えてたろ」
「………エル」
「お前の言動が、国王を動かしたんだ。祭壇で犠牲になったやつらも、これで浮かばれる」
…もう。どうして、そういうこと言ってくれるの。
「…うぅ〜…」
「あーあ。エルってばまたリオ泣かせて」
「あん!?何もしてねぇだろ!おいちびっこ、泣いてる場合じゃねぇぞ!」
アスティの呆れた声に、噛みつくエル。あたしは涙を流しながらも、思わず笑ってしまった。
「…うん。泣いてる場合じゃないよね。まずはオーガに…オーガは?」
今回の件で、一番協力してくれたのはオーガだ。だからお礼と、実の父親である国王を助けられなかったことを謝らなきゃと思ったんだけど…
きょろきょろと辺りを見回すあたしに、フィオが険しい顔を見せた。
「僕たちは、ちょうど遺跡に向かう途中で中から出てきたオーガ様に会って、リオさんたちを外へ連れ出すように頼まれたんです」
「…そのあと、オーガはどこに…」
そこまで言いかけて、ヒヤリとする。


