動かなきゃ、逃げなきゃと、頭は警報を鳴らしているのに、体は立ち尽くしたように言うことを聞いてくれない。


地下牢に行く前に、国王に出会ってしまったことが全てを台無しにしてしまった。



衛兵がいないからって、あと少しの距離ならそのまま気を付けて進めば良かった。


そうすれば、誰より信頼できる二人が、そこに居たのに。



…そんな後悔が頭の中をぐるぐると巡る中、国王はユーリに向けていた視線を、ゆっくりとあたしに向ける。


国王の姿は、こんな時でも綺麗と思えるほどだった。


その紺の瞳だけは、まるで感情がないように見えたけれど。




ーーーエル、アスティ…みんな、ごめんね。





次に国王の姿が目の前に現れた瞬間、あたしは深い闇に包まれていったーーーーー……