あたしの位置からだと小さくてよく見えないけど、日本で言う補聴器のような形をしていた。


「これは、ダルクに作って貰った小型の無線機だ」


オーガはそのうちの一つを手に取って、あたしの前に置く。


「つ…作ったの?」


思わず目を見張ってダルクを見ると、得意気な笑みを浮かべた。


「僕とユーリは、出身がトレッタでね。技術の最先端をいく国だから、機械は得意なんだ」


「あたしは興味ないけどねー。ダルクは才能あると思うわ」


小型の無線機…。そっか、これで連絡を取り合うんだ。


「俺は城内の監視役。そして、ダルクは城外の監視役だ。フィオには国王の監視をしてもらう。…たぶん今頃、明日の準備でこき使われてるだろうな」


オーガは眉を下げて笑ったあと、赤ペンで国王の部屋を丸く囲った。


「国王の部屋に辿り着いたら…リオちゃん、最後は君の出番だ」


その言葉に、みんなの視線があたしに集まる。


あたしの、役目。
…それは、国王をティアラから貰った剣で倒すこと。


「………頑張る、よ」


決意を口にしたはいいものの、あたしの声は弱々しく、情けないほど頼りなかった。