「…ふぅん」
ちびっこは真っ直ぐ前を見たまま、ポツリとそう言った。
その以外な反応に、俺は思わず隣を振り返る。
「へぇ?もっと非難されるかと思ったけど?」
一瞬俺に目を向け、ちびっこはまた前に視線を戻した。
「…あたしの世界だったら、それはよくないことだけど。こっちの世界じゃ、普通なのかもしれないし」
だから、とちびっこは続けた。
「もう少し経ってから、良いか悪いか決めるよ」
そう言って笑うちびっこから、俺は目が離せなかった。
ただのバカかと思ったら、案外そうじゃないらしい。
「あ!欲しいもんは奪うってことは…奪われたあたしは欲しいものだったの!?」
…やっぱバカだ。
「誰がお前なんか欲しがるかアホ」
「な!失礼ねッ!」
ため息をつく俺の横で、ちびっこはぎゃあぎゃあ騒ぎ出した。
だから子守は疲れんだよ…ったく。
振り回すのは慣れてるが、振り回されるのには慣れてねぇんだ。


